福井ブランド米開発物語

開発経緯

「コシヒカリ」を生んだ福井県農業試験場では「コシヒカリ」誕生後も「ハナエチゼン」「イクヒカリ」「あきさかり」など、これまでに40を超える品種を誕生させてきました。 近年の夏の高温により全国的に米の品質の低下が問題視される中で「コシヒカリ」を超える新たな品種を開発するため、平成23年5月に農業試験場に「ポストコシヒカリ開発部」を新設し「コシヒカリ」を超える新たな水稲品種の開発プロジェクトはスタートしました。

『おいしい』『つくりやすく』『環境にやさしい』

以下の明確な3つ育種方針の下、「福井の新しいブランド米」の開発がスタートしました。

  • 消費者の好みに合った味わいのある『おいしい』品種
  • 夏の暑さでもきれいに実り、おいしい味を実現し、倒れにくく『つくりやすい』品種
  • 病気に強く、有機質肥料で安定して栽培でき、農薬や化学肥料の使用を減らし、ふるさと福井の自然に負荷が少ない『環境にやさしい』品種

20万種を植付け、手作業で選抜を進める

まずは、平成23年に「コシヒカリ」を生んだ福井県農業試験場が、60年以上にわたり蓄積してきた水稲育種の経験と交配により育成した「福井の新しいブランド米」の候補20万種を1本1本田んぼに植え付けました。
草丈、穂が出る時期、耐病性、収量などを丁寧に調べ、真夏の暑い時は1日中田んぼの中で調べるので、麦わら帽子と飲み物は欠かせません。収穫も一種類ずつ手で刈り取り、昔ながらのハサがけ乾燥をしています。その後は、稲穂からモミを手で外し、玄米の見た目を一粒ずつ確認し、「コシヒカリ」よりきれいなものを選んで1万2千種まで選抜しました。

コシヒカリを生んだ技術をベースに、最先端技術を駆使

手作業による選抜の一方で、稲の遺伝子により性質を識別する「DNAマーカー」による選抜を(独)次世代作物開発研究センターとの共同研究により、全国に先駆けて取り組みました。その結果、「福井の新しいブランド米」は、高温に強く、品質が良く、おいしい味を持つ米の性質を正確かつ、複数の性質を同時に識別できることで、効率的な選抜ができるようになりました。

味にこだわる

消費者の『おいしい』を開発に反映させるために、都市圏を中心とした消費者やプロの料理人の方々を対象に、米の「食味調査」を実施し、消費者の好みを分析研究しました。普段は人前に出る機会が少ない研究者が、東京青山や日本橋三越などで、実際にごはんを炊いて食べてもらい約1,500人から意見をいただきました。この結果、「甘くて、もっちり、なめらかな食感」としたお米が好まれることが分かりました。 この味を求めて、試験場内に食味専用調査室を設け、多い時には朝から10種類を2時間おきに5回、計1日に50種類を食べ比べました。これだけ多くの量を食べると、歯がつるつるになることを知りました。 また、ごはん粒一つ一つの硬さや粘りの測定や、米のデンプン成分の構造分析などによりごはんの粘り、硬さ、成分などを科学的に裏付けし、「コシヒカリ」を超えるおいしさを持つお米を作りだしました。

福井県民とともに

平成27年からは、県内各地で農業者による栽培試験を行ってもらい、その結果を選抜に生かしました。
また、平成28年には「福井の新しいブランド米」に福井県民自らが愛着と誇りを持てるよう、4品種から1品種に決定する最終選抜は県民による食味評価を参考にし、専門家の意見を踏まえ県が決定しました。

こうして、県内農業者、消費者、農業団体等の力を集結して、平成28年12月2日に「福井の新しいブランド米」水稲品種「越南291号」は誕生したのです。